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[最新版]多重債務の実態

ここでは一般の人が多重債務者になってしまう例を説明。また金融業者が仕掛ける落とし穴についても解説しています。

このようにして多重債務者が生まれる

金融庁の資料によれば2010年6月時点での消費者金融・キャッシングなどの借り入れ総数は1,538万人。そのうち約170万人が5社以上から借り入れがある多重債務者という結果が出ています。

自ら好んで多重債務者になる人はおそらくいないでしょう。なぜ多重債務者になってしまうのか、そこには誰でもはまってしまいそうな落とし穴があったのです。

会社員Aさんの例で考えていきましょう。Aさんは営業職で月々の収入は25万円。贅沢はできませんが普通に生活はしていけるレベルです。ただ、Aさんは営業成績を上げるために毎月自腹で5万円くらい接待費を充てていました。

そこで生活費の不足を補うつもりで最初はクレジットカードのキャッシングを利用しました。それが限度額に達すると今度は消費者金融からも借りるようになりました。

消費者金融は継続利用で限度額が上がります。さらに借金の額が増えそれを返済するために別の消費者金融から借りるといった悪循環に陥ってしまいました。気がつけば5社から250万円の借入れをしていました。

ここで冷静になって考えてみましょう。250万円の借金を1年で返済しようと考えると利息20%として300万円が必要になります。月々の収入25万円をすべて返済に充てなければ完済できません。

月々4~5万円程度の返済なら何とかなりそうですが、それでは元金がほとんど減らないので借金が無くならないですし、そもそも月5万円の出費のために借金を始めたのですからこのままでは返済のメドが立たないということになります。

このようにできる範囲で借金を続けていたら、知らないうちに返済が難しい状態になっていたというケースが多いのです。

貸金業者が仕掛ける罠に注意!

Aさんに限らず借金をするきっかけは些細な事が始まりで、最初から250万円を借りるといったケースはそれほど多くはないでしょう。

ではどうして250万円という大金を借りてしまうことになるのか。それは以下のような理由が考えられます。

返済能力を超える貸し付け

国民生活センターの多重債務者対象のアンケートによると40%が必要以上の金額を借りるよう消費者金融から勧誘があったというデータがあります。利用しやすくて頼もしい存在に見えてしまうかもしれませんが、無計画な借金は後々苦しくなるばかりです。

利用限度額が増える

一度完済したり、しばらく貸金業者の利用を続けているといつの間にか限度額が増えたり、業者から利用枠が増えたと連絡がくることがあります。ATM等で引き出せる金額が増えるのでさらに借金を増やす結果となります。

借入先が複数になると借金の総額がわからない

借入先が5社くらいになるとだいたい借金額が200万円台になることが多くなりますが、この段階になると返済するのが苦しくなり、利息ばかり払って借金が減らないのでどのくらい借金があるのかがわからなくなり歯止めが効かなくなります。

ヤミ金業者に手を出してしまう

大手消費者金融も5社くらいから借金をするとそれ以は難しくなります。そこで低金利一本化を謳ってヤミ金・街金といった金融業者が勧誘してきます。換金屋やチケット金融など法外な利息で貸し付けを行うのでますます借金から抜け出せなくなります。

以上のように、消費者金融のような貸金業者はお金を借りてもらって利息をとるのが商売ですから、様々な罠や落とし穴を仕掛けてきます。

支払不能に陥ってどうにもならなくなる前に、まずは弁護士に相談することが重要です。

多重債務による生活への悪影響と解決方法

多重債務に陥ると、当然それまでの生活とは状況が一変します。具体的にどのように変化してしまうのか?ここでは多重債務が生活に与える悪影響の一例をまとめてみました。

督促による精神的負担

多重債務によって返済が滞ると、消費者金融やクレジットカード会社といった債権者から督促や催告が頻繁に通知されるようになります。

督促や取り立てに関しては貸金業法の第21条によってある程度規制されていますが、複数の会社からお金を借りている多重債務者の場合、入れ替わり立ち替わり督促や催告が届くので、精神的な負担は大きくなります。

生活苦に陥る

多重債務者はたとえ働いて給与を得ていたとしても、その大半は借金返済に消えてしまいます。手元に残るお金が少ないので生活苦に陥りがちで、なかには食べるものにすら困る人も。

家族がいる場合は配偶者や子どもにまで影響が及び、一家そろって路頭に迷うこともあります。

仕事に支障が出る

多重債務者は常に借金のことで頭がいっぱいなので、仕事面に支障が出ることが多々あります。また、現在は貸金業法の改正に伴い、むやみに債務者の勤務先に連絡してはいけないことになっていますが、闇金融などからお金を借りると職場に繰り返し電話されることもあります。

そうなると職場にも借金をしていることがバレてしまい、会社に居づらくなってしまう可能性があります。

人間関係の悪化

日本では「借金」に対するマイナスイメージが非常に大きく、多重債務者は「計画性のない人」というレッテルが貼られてしまいます。

また、借金問題は周囲に影響が及ぶケースが多いため、多重債務者とわかったとたんに知人や友人が離れていってしまったという話も少なくないのです。

さらに多重債務が発覚した時点で家族関係にひびが入ってしまうこともあります。たいていの人は家族に内緒で借金をするのですが、督促や催告の通知は自宅宛に届くため、家族に隠し通すのは至難の業。督促が来ている時点で状況はかなり悪化していますので、家族からの信頼を失ってしまうおそれ大です。

将来に悪影響を及ぼす

多重債務に陥ると余裕がなくなり、現状のことしか考えられなくなってしまいますが、借金は自分や家族の将来にも確実に悪影響を及ぼします。

例えば交際している相手がいたとしても、多重債務を抱えている状態では将来の展望が見えず、結婚に踏み切れないことがあります。借金を隠した状態で結婚すると、発覚したときに大きな問題になり、夫婦関係に亀裂が入ってしまうことは想像に難くありません。

また、すでに家族がいる場合も子どもの学費を確保できずに進学をあきらめざるを得なくなったり、ローンの審査が通らずマイホームの夢が消えてしまうなど、さまざまな面で問題が発生しやすくなります。

このように、多重債務は公私の両面に悪影響を及ぼすほか、大事な家族の生活や将来を壊してしまうリスクが非常に高いものです。

もちろん、債務者は生活改善に向けて何とか借金を返していこうと奮闘しますが、多重債務ともなると毎月の返済もままならず、自力で完済するのは困難です。

最近は「おまとめローン」といって、複数の借金をひとつにまとめて月々の返済負担を少なくするサービスも増えてきていますが、月々の返済額が減るということは、それだけ借金が長引くということでもあります。当然支払う利息も大きくなるため、問題の根本的な解決にはなりません。

多重債務で困ったら弁護士や司法書士に相談

多重債務は長引けば長引くほど自分や家族の生活にダメージを与えていくものなので、返済が滞ってきたら早めに債務整理をすることが大切です。

ただ、債務整理の手続きは複雑で面倒なものですし、消費者金融などの債権者と直にやりとりをしなければならないので精神的な負担も大きくなります。

しかも仕事や家事など日常業務の合間に行わなければなりませんので、スムーズにことを進めるのは困難と言えるでしょう。多重債務を長引かせないためにも、債務整理は弁護士や司法書士などその道のプロに依頼した方が賢明です。

債務整理を繰り返さない為に知っておきたい借金癖の対処法

せっかく債務整理をして借金を減額できたとしても、借金を重ねてしまう「性格的要因」や「借金依存症」が原因にある場合、債務整理をするだけでは根本的解決にはなりません。


ここでは、債務整理の際に一緒に考えておきたい借金癖や依存症などの特徴、および対処法について詳しく解説します。

本人が自覚しづらい性格的要因

1.虚栄心が強い(見栄っ張りである)

自分に自信がなく劣等感が強いにもかかわらず、他人から認められ称賛されたいという気持ちが非常に強い性格です。
ブランド品を持つことで自分の価値が高まったように感じたり、持ち合わせがないのに高価な電子機器などをカードで買ってしまう、自分の収入に見合わない高額な車を無理なローンを組んで買ってしまうなど、持ち物を持つことで安心感や自尊心を得る傾向があります。

2.何事にも大雑把で、異様に楽観的である

細かいことを気にしないで、いつも楽観的でいる。これは一見して良い性格にも思えます。
しかしこの性格によって、生活費・税金や公共料金の支払い・借入金の返済分が月にいくら必要なのかをきちんと把握せず、気の向くままにお金を使ってしまう癖を持つ人がいます。

生活費の総額を計算したことがない場合が多く、借り入れも軽い気持ちで行います。生活費や返済のためのお金が無くなるとさらに借り入れますが、「大丈夫。何とかなるはず」と根拠なく考えます。借金の督促や家賃滞納などにも無頓着なことも多く、さらに他の所から借り入れることで安心したりと、多重債務になりやすい特徴があります。

性格的要因への対処法

性格上の要因は本人がさほど「認識していない」場合も多く、対処は非常に難しくなります。
どちらの場合も、まずは現時点での借金の総額と月々返済しなければならない金額、そのほかに毎月かかる生活費を額面として見させ、今、経済的にいかにひっ迫した状況かを認識させることが必要です。
それでも本人が問題を認めなかったり、激しく拒否したり、激高したりするなら、次の項目で取り上げる「借金依存症」である可能性もあります。

人に危害を加える事もある借金依存症

借金依存症は「衝動制御障害」のひとつとされており、しばしばギャンブル依存症や買い物依存症などと関連づけて考察されています。
衝動制御障害とは読んで字のごとく、衝動を制御できないという障害です。

衝動制御障害の概要・治療法については、アメリカ精神医学会の診断マニュアルなどを参考文献とし、近畿大学医学部精神神経科の教授らが執筆した論文を参照しつつまとめると、以下のようになります。

衝動制御障害とは、感情や行動を自分で制御することに関する障害であり、自分または他人に危害を与えるような衝動、欲望、または誘惑に抵抗できないことが基本的特徴である。

しかしこの障害は事実上ひとつのカテゴリーとして確立されておらず、分類不能。 ゆえに衝動制御障害の治療法は、現時点では確立しているとは言えない。衝動行為は患者と環境との相互作用の中で発生することから、その双方への働きかけが必要とされ、それぞれの疾患や症状・状況に応じた個々の対応が必要である。

衝動制御障害の治療を行うには、まずは患者が自身の問題に気づくことが重要である。自身の行動を変えることができるのは自分自身でしかないことを理解し、疾患によってもたらされた自らの問題に正面から向き合ってはじめて治療は始まる。

その際に湧き起こる自責や後悔の念を理解し、必要に応じた環境調整を施すことも重要である。このように治療環境を整えた後、薬物療法が効果をもたらすことを期待できる。

参照元:近畿大学医学部精神神経科学教室「衝動制御障害」

また、そう病の治療薬が借金依存症にも有効だとされています。

代表的な治療薬としては、そう病の治療薬として知られるリチウム(リーマス)や、非定型抗精神病薬で脳内のドーパミン神経系を抑制するクロザピン(クロザリル)などの処方薬が、衝動性の治療に有効であるとされている。

参照元:近畿大学医学部精神神経科学教室「衝動制御障害」

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