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任意整理と自己破産の違いを徹底解説

ここでは任意整理から自己破産まで債務整理方法の違いとそれぞれの緊急度について解説しています。

債務整理の種類と対象者の緊急度

債務整理にはいくつかの方法がありますが、任意整理と自己破産で行うことは全く違います。借金の額や債務者の事情を加味した上で適切な方法を選ぶことが重要です。

そこでそれぞれの債務整理の方法の違いについて、対象者や緊急度も合わせて説明していくことにしましょう。

任意整理

裁判所は通さずに債権者と直接交渉して借金を減額したり支払い期間を延長してもらう債務整理の手段です。弁護士が受任すると取り立てや督促はストップ。利息制限法に基づいて利息の引き直し計算をして交渉により債務者の返済負担を軽減させます。

【緊急度】★★

比較的借金の総額が少なく(年収の1.5倍程度)、継続的な収入があって3年くらいを目安に返済できる見込みがある債務者が対象となります。但し任意なので債権者が和解に応じない場合もあります。

特定調停

簡易裁判所を通して調停委員に協力してもらい任意整理を行う手段です。もともと個人で行うことを前提としていて、あくまで双方の話し合いによる解決方法なので、債権者の協力(同意)が得られなければ調停は不成立になります。

【緊急度】★★

対象者は基本的に任意整理と同じです。ある程度の専門知識を持つ個人が手続きすればば費用は安く済みますが、裁判所へ足を運んだり書類の作成もすべて自ら行う必要があります。弁護士に依頼する場合は通常の任意整理を行うのが一般的です。

個人再生

裁判所に申立てをして民事再生法による再生手続を行い、住宅ローンを除いた債務を原則5分の1まで減額して、残債務を3年で分割返済するという債務整理の手段です。提出した再生計画案が認可されればマイホームを手放すことなく借金返済の負担を軽くできます。

【緊急度】★★★★

今のままでは支払不能になる可能性があることが前提です。負債総額が5,000万円以下で継続的な収入があり3年で返済の見込みがある債務者が対象となります。自宅売却になるので自己破産はしたくないという人に向いています。

自己破産

借金の返済の見込みが全く立たなくなった場合に、裁判所に破産の申し立てをして免責許可決定を受けることで借金をゼロにする債務整理の最終手段です。マイホームや車など20万円以上の資産がある場合は処分され、破産管財人により債権者に分配されます。

【緊急度】★★★★★

任意整理や個人再生でも債務整理が困難で、裁判所が支払不能であると判断した債務者が対象となります。ギャンブルや浪費などを原因とする債務がある場合は免責が許可されない可能性があります。

特定調停の特徴やメリット・デメリットを解説

弁護士などを利用せず、簡易裁判所を通じて調停を行う特定調停のメリットは、費用が少なくて済むことであり、できればこの方法を使いたいと考える債務者も多いはずです。

しかし、特定調停はあまり使われる方法ではありません。合意が得られにくいなどといったデメリットもあるからです。メリットとデメリットを知っておけば、特定調停が自分のパターンに向くか向かないかがわかります。

特定調停のメリット

とにかく費用をかけたくない人の味方

特定調停最大のメリット、それは他の債務整理のどんな方法よりも「費用がかからないこと」です。

かかる費用は手数料や交通費のみであり、最低数千円で済むこともあります。ほぼ本人が行うので、弁護士や行政書士費用がいりません。

自分で行うと言っても、簡易裁判所で申し立てや調停を行うので、借金をしている会社に自分で示談を申し込むわけではありません。話し合いは裁判所仲介のもとで行われます。

調停期間中は返済や強制執行の停止ができる

特定調停をしている間、返済の義務から逃れられることもあります。また、強制執行の停止措置をすることも可能です。

給与を差し押さえられそうだというとき、特定調停をすることで、差し押さえに「待った」を裁判所がかけてくれます。

相手となる債権者を選択できる

多重債務者の場合、債権者が複数いることになりますが、特定調停をする場合は相手となる債権者を自分で選択することができます。

自己破産の場合は債権者を選んで一部に返済するという事をすると、破産犯罪とされる可能性もありますが、特定調停はそのようなことはありません。一部の債権者のみ減額措置をしてもらうことが可能です。

すなわち、特定調停では住宅ローンを組んでいる先の債権者を対象としないことで、資産を手元に残しておくことができるようになります。

また、連帯保証人に迷惑をかけたくない場合も、特定調停で整理対象からその債務先を外すことができます。

利息カットや分割返済も話し合える

特定調停では、任意整理と同じように利息の減額について話し合うことができます。減額だけではなく利息免除を求めることも可能です。

返済も分割返済が妥当と判断されることもあるので、借金が楽になります。本人の話し合いで和解が得られない場合、「調停に代わる決定」がされるので、たとえ調停が成立しなくても、調停調書と同じだけの条項を調停委員会が定めてくれます。

特定調停のデメリット

取り立て行為停止までの期間が長い

特定調停での取り立ての停止は確かに可能なのですが、そのためには通知を債権者に送ることが必要です。

弁護士や司法書士の場合は受任通知をすぐに送付し、取り立てを停止することができますが、特定調停の場合は自分で必要な書類を用意して簡易裁判所に申し込み、さらにそれが受理されてから通知が行くことになります。それまでの間、取り立て行為が止むことはありません。

元金は減額できない

分割払いも利息の減額、免除もできる特定調停ですが、元金の減額だけはすることができません。

元金も減額したしたい場合、弁護士に依頼する必要があります。

過払い金を戻せなくなる

特定調停の場合、過払い金があったとしても、それを考慮せず返済方向で合意に至ることになります。なぜなら、債務者が債務整理のために申し立てるのが特定調停であり、債権者に払わせるための申し立てではないからです。

調停委員の力量にもよるようですが、過払い金があると推測される場合でも、合意内容が債務者に債権がないとするのではなく、債務者及び債権者に債務が無いとする場合があります。双方に債務がないとした場合、後日過払い金を請求しても、それを理由に債権者が支払いを拒んでくる可能性が高いです。

ブラックリストに掲載される

特定情報を自分で行ったとしても、信用情報機関に登録されることになります。

つまり、新たな借り入れはできず、クレジットカードの作成も不可となるという事です。すべて現金で支払う生活をすることになります。

そもそも債権者が出廷してくれないと合意が成立しない

債務者もちろん、債権者も話し合いのために裁判所に出頭しなければなりませんが、出頭のための強制力を裁判所は持ち合わせていません。債権者には出頭する義務もなければ、申し出を受け入れる義務も存在しません。

相手との合意が成立しなかった場合、確かに調停に代わる決定がされるのですが、それも2週間以内に異議申し立てがあれば失効することになります。

生活保護受給者の特定調停はほぼ利用不可

法律では生活保護受給費での借金返済は禁止事項ではありません。

しかし、特定調停で調停委員がそれをよしとしない場合、特定調停の申し出を取り下げられる場合があります。なぜなら、生活保護受給者は生活に必要な最低限のお金を支給されているだけであり、決して借金返済のために支給されているわけではないからです。

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